月刊がん もっといい日Web版


☆☆☆「週刊がん もっといい日」VOL.8☆☆☆
渡辺亨浜松オンコロジーセンター長

治療最前線

オンコロジスト(腫瘍内科医)ならではの抗がん剤の
使い方でQOLの高い外来化学療法を実現

取材協力:
浜松オンコロジーセンター
(静岡県浜松市)渡辺亨センター長



高い専門性で行われる抗がん剤療法
治療後は自分で運転して帰る患者

「『抗がん剤を使うと副作用がつらい』というのは、抗がん剤についての知識と経験が乏しい医師が薬を使うからそうなるのであって、専門家がきちんと使えば、そんなことはありません。現にウチの患者さんたちは、外来で抗がん剤を投与して、自分で車を運転して帰っていくんですから・・・」
 そう笑って話す渡辺センター長は、国立がんセンターなどの大規模病院に勤務するなかで、「大病院には大病院なりの役割があるが、患者のニーズに応えきれない限界がある」ことに気付き、その“足りない部分”を高い専門性でカバーするクリニックをめざして、1年前に浜松オンコロジーセンターを開設しました。
祖父の代から続く一般内科医院と併設する形で新築したこのセンターは、抗がん剤を投与するためのベッドが3床ありますが、入院機能を持たない外来専門のクリニックです。
「抗がん剤を外科医が使うことが多い現状で、どこまで抗がん剤に専門性が求められるかというと、心もとないといわざるを得ない。効果的な使い方や副作用への対応にも、内科と外科では認識に大きな隔たりがあるのは事実」(渡辺センター長)


浜松オンコロジーセンターの外観

浜松オンコロジーセンター内に設けられたホール


浜松オンコロジーセンター内には、がん患者をサポートする情報が掲示・展示されているほか、講演等に使えるホールも併設している


■浜松オンコロジーセンターの連絡先■
所在地:静岡県浜松市中央3丁目6-13
TEL:053−452−6940
URL:http://www.oncoloplan.com

後方病院との連携を密にすることで
患者の精神的な不安もカバーする


「紹介状を渡されて、『○○病院に行ってください』と言われたところで、患者さんの不安は大きくなるだけです。その時に『△△先生に話をしてありますからね』と一言付け加えるだけで、患者さんの安心感はまるで違ってくる。そこまでして初めて、医療連携といえるはずです」
日本を代表するオンコロジスト(腫瘍内科医)で、抗がん剤の裏ワザ的な組み合わせを含めて使い方はもちろん、それを取り巻く法整備についても詳しい渡辺センター長。保険適用において、「医師の裁量に任されている範囲」についても熟知しているだけに、他の医師が「適用外」と考えるようなケースでも、自信を持って処方しています。
「もう手はない」と主治医から宣告された患者さんが、東京以西、遠くは九州から浜松に通院する現状が、渡辺院長の実力を示しているといえるでしょう。
高い専門性により、知識、技術、そして精神的なアプローチも含めて、「今、この患者さんに何が必要なのか」を的確に捉えて提供している渡辺センター長。がん治療の一つの将来像が、浜松で具現化しているのです。